バターのいとこ (栃木県那須町) vol.1
United Athle Works 1760-01 / 7448-01バター香るふんわり生地にシャリッと食感のバタークリーム、
そして無脂肪乳でつくるとろっとしたミルクジャム─。
今、この新感覚のお菓子「バターのいとこ」が話題を呼んでいる。
今回はそんな人気スイーツとコラボレーションが実現。
物語の始まりの場所である栃木県那須町を訪れ、
バターのいとこが実現しようとしている壮大なビジョンに迫った。
よろこびが連鎖する
牛と人と地域のイイ関係
羽田空港や都心のショップでも販売され、今や全国区での人気を獲得している話題のお菓子、バターのいとこ。この新銘菓の魅力は、食感の新しさやかわいい見た目だけでなく、環境保護や地方創生、雇用創出など、関わる人たちにメリットをもたらす仕組みにもある。美味しく食べて地域や環境にも貢献するこのスイーツは、どのようにして生まれ、なぜ広く愛されるようになったのだろうか。本店を構える森の中のまち、GOOD NEWSを訪れ、バターのいとこの生みの親である宮本吾一氏に話を聞いた。
「バターのいとこが生まれたのは、森林ノ牧場・代表の山川将弘さんから、那須の美味しい牛乳を使った良質なクラフトバターをつくりたいと相談されたことがきっかけでした。実は、小規模な酪農家にとってバターづくりはすごく難しいことなんです。牛乳から4%分しかバターにできず残りの90%以上はスキムミルク(無脂肪乳)になるのですが、これが悩みのタネ。大規模乳業では粉ミルクの原料などとして使われるものの、大きな窯で一度に大量につくらなければならないため小さな酪農家では採算が合わなくなってしまうんです。それに、スキムミルクだって愛情を持って育てた牛乳の一部ですし、無脂肪とはいえミルク感もしっかりあってきちんと生かせば美味しくいただけるもの。それならばスキムミルク自体の価値を高めるべきだと考えて、代々木八幡のレストラン、PATHの後藤裕一さんにレシピを監修してもらったり、友人のデザイナーにパッケージをデザインしてもらったり、さまざまな人と手を組んでようやく完成したんです」
ひとつひとつの会社や個人は小さくとも、共通の思いを持った人々が集まり、支え合いながらエネルギーを循環させよろこびを連鎖させていく──。そんなビジョンは、ここGOOD NEWSのスタンスにも表れている。「僕らが大切にしているものはいくつかあるのですが、まずひとつは“森と人との共生”という点。もともとここは、4万5000平米の森のうち9000平米を切り拓いてつくった場所なんです。だからこそ、かつての里山のように人間社会が関わっていくことで、開発する前よりも森をもっと豊かにしなくちゃいけないと思っていて。20年、30年と長い期間で実現しようと考えていて、施設から出る生ゴミを堆肥にして森や牧場に還したり、使い捨てのゴミを減らすためにリユースカップを施設全体で導入したりというように、少しずつ歩みを進めているところです。今、世の中では “サステナブル”という言葉が注目されていますが、僕らはただ持続可能であればいいとは思っていません。仲間と協力しながら自分たちの課題を見つけて解決し、らせんのように上昇しながら循環する“リジェネラティブ”な持続を目指しているんです。ちなみに、僕ら作り手、売り手だけでなく、訪れるお客様にも参加してもらう仕組みをつくっていて、みなさんが買い物してアプリに貯めたポイントをまちづくりに運用する試みも始めました。那須の街にハーブを植えるなど、地域全体が豊かになるような施策に取り組んでいます。そして、もうひとつは雇用創出。ここ那須でも他の地域と同様に人口減少が進んでいますが、僕らは働く場所が限定されてきた障がいを持つ方や主婦の方を積極的に採用しています。彼ら・彼女らのそれぞれの事情に合わせてフレキシブルに働けるような仕組みを作ったんですね。もともとお菓子をつくったこともなかった主婦の方が、今ではチームのリーダーとして活躍していたりもします。主婦という仕事は毎日家事に育児と多くのタスクを並行して進めるわけですから、ハードなマルチタスクを効率的にクリアするスキルが身についている。社会経験や学歴などで価値が見誤られがちな彼女たちですが、本当はきちんと活かせるポテンシャルを持っているんです。障がいを持つ方も同様で、必ずどこかに能力を活かせる仕事や場所があるはず。これから先を見据えるという意味でも、今までスポットライトが当たってこなかった地元の方々に、楽しく活躍してもらえる場を提供していきたいですね。僕らはよく“三方よし”と言っているんですが、作り手も売り手も買い手も、関わってくれるみんなが幸せになれることがいちばんの願いなんです。多様な人々が集まって強いエネルギーになり、それが循環していく。そんなビジョンを持って僕らは働いています」
“森と人とが共生する持続可能なまち”というコンセプトのもと、2022年7月、緑豊かな那須高原の森の中にオープンした複合施設。バターのいとこカフェがある中心部“DIARY”にはソフトクリームやプリンなどの乳製品が、ショップエリアの“NEIGHBORS”にはコーヒーロースターからバーバーまでさまざまなショップが軒を連ねる。敷地内にはバターのいとこなどを製造する工場も並ぶ。
GOOD NEWS DAIRY
栃木県那須郡那須町高久乙2905-25
GOOD NEWS NEIGHBORS
栃木県那須郡那須町高久乙24-1
スキムミルクからつくったジャムをバター香るゴーフレット生地でサンドした那須の新銘菓、バターのいとこ。いまや国際空港のターミナルや都内の駅ビルにもお店を展開する大人気のお菓子だ。定番人気のミルク、チョコのほか、限定フレーバーもラインアップ。那須の本店にはカフェが併設され、バターのいとこだけでなくスキムミルクを使ったドリンクやスイーツなどもいただける。
栃木県那須郡那須町高久乙2905-25
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