KURKKU FIELDS(千葉県木更津市)
United Athle Works 1772-01 / 1384-01 / 7078-01, United Athle 5044-01千葉県木更津市に広がるサステナブルファーム&パーク・KURKKU FIELDSは、
「農業」「食」「アート」の3つのコンテンツを軸に、豊かな自然とその恵みを楽しめる複合施設だ。
今回はここで誇りを持って働くスタッフのためのユニフォームをともに制作。
デザインに込めた想いから、彼らの目指す未来像を紐解いてみる。
“いのちのてざわり”を
体験して広がる循環の環
ここ、KURKKU FIELDSの発起人はMr.Childrenのプロデュースで知られる音楽プロデューサー・小林武史氏。2005年、さまざまな環境保全プロジェクトを提案するap bankの理念を実社会に活かす場として、レストランやフードストアを展開するkurkkuを立ち上げたことに始まる。2010年には、根幹である第一次産業を実践する場所として、現在のKURKKU FIELDSの前身となる農場を木更津でスタート。そして2019年、この農場を誰もが楽しめるサステナブルファーム&パーク・KURKKU FIELDSとして開業し現在に至る。本施設のオープン前から野外教育を中心とした事業に携わり、現在も現場の第一線で活躍する佐藤剛氏にその歩みを聞いた。
「KURKKU FIELDSがオープンしてから約4年。オープン直後に房総半島へ未曾有の大型台風が来たり、そのあとすぐにパンデミックが起こったりと、スタート早々困難続きだったことをよく覚えています。その他にも多くの壁に打ち当たってきましたが、こういったネガティブな事象をポジティブな結果に転換してきたことこそが、私たちの強みでありルーツだと考えています。例えば、台風で停電したことをきっかけに太陽光発電・蓄電の環境を整えることができましたし、コロナ禍でも屋外で学べる施設というメリットを活かして校外学習や修学旅行で多くの学生さんと触れ合うこともできました。このように、マイナスのできごとをプラスの結果に変えてより良い方向に持続させる“循環” こそが、私たちのコンセプトなんです」
KURKKU FIELDSの核である“循環”というキーワード。プロジェクト全体から日々の細かなルーティーンに至るまで、すべてのものに循環の仕組みがあると佐藤氏は語る。
「KURKKU FIELDSでは、どこを見てもすべてがひとつの環でつながっていることを感じてもらえると思います。例えば、飼っている動物の糞やレストランから出る生ゴミを堆肥にして資源として利用することもそうですし、太陽光発電で持続可能な農場経営を目指していることもそう。さまざまなかたちで、循環・サステナブルな仕組みを取り入れているんです。もちろん、このような目に見える取り組みだけでなく、前述したようにコロナ禍で学生さんたちとの交流が増えたという事例のような目に見えない循環もあります。こういった仕組みづくりこそが、私たちの使命ですし、社会のモデルケースにもなりうると思うんですね。 KURKKU FIELDSの中で完結するのではなく、情報やノウハウをオープンソースにすることで、体験してくれた人から広がってほしいと思っていて。ここに来て気づいたり感じたりしたことを、今後は自分なりにアクションを起こしてみよう、というきっかけとなるプラットフォームでありたいんです。未来を担う子どもたちはもちろん、一緒に来てくれる親や先生たち、ひいては行政の人々から企業まで、年齢や立場に関係なく、循環の仕組みを知って広げていくための出発点にしたいと考えています」
今回、United Athle Worksとのコラボレーションユニフォーム制作のプロジェクトが実現したのも、この循環の環を広げていきたいとの想いが理由のひとつだと言う。
「正直な話、はじめにこのコラボレーションのお話が持ち上がったときは少し迷ったんです。ユニフォームを作るなら、理念が共通している環境保護に特化したアパレルブランドと組むという選択肢もあったわけですから。しかし、いろいろとお話をする中で、環境に配慮したUnited Athle GREENというシリーズもあることを知って。昔からエコアクションに取り組んでいるブランドではなく、新たに取り組み始めたブランドだからこそ、一緒にやる意味があると思ったんです。今までアプローチできなかった人々にも私たちの想いを届けられるチャンスですし、それと同時に協業をきっかけにUnited Athleのアクションの一助となればとも思ったわけです。美味しい食べ物を作ることやみんなが楽しめる場所を作ることはもちろん大切だし精一杯頑張っているけど、それだけにこだわるのではなく、こういったアクションをどのように広く伝えられるか、ということを大切にしたくて。オーナーの小林も現場で働く私たちスタッフも、ずっと生き続けるわけじゃない。だからこそ、仕組み作りを通してこの想いをより広く、より多くの人に届けられるかをこれからも考えていきたいですね」
ユニフォームを通じて
伝えたい多様な生き方
改めてパーク内を見渡してみると、農業や食の施設だけでなく、さまざまな作家によるアート作品や地中図書館、アスレチックや滑り台などの遊び場、宿泊施設など、“体験”に特化したアクティビティが多数用意されていることに気づく。
「農業体験や動物との触れ合いはもちろん、パーク内のアート作品を鑑賞することや地中図書館の本を読むことなど、体験を通して価値観が変わったらいいなと思っていて。その解釈は人それぞれでいいし、どう感じてもらってもいいんです。自分の中に新しい情報が入ってきて、次の日からものの見え方が少し変わるだけでいい。例えば、地中図書館で木の本を読んで知識を得たら、いつも家の窓から見ている木も、あの木はどういう育ち方をするのかなとか、少し変わって見えると思うんですね。こういった体験から、こんなに素晴らしいものが身近にあるんだということに気づいて、本質的な意味での豊かな暮らしというものを知ってもらえたらと思っています。私たちが提供するこれらの体験はいわば入口のようなもので、来てくれた人それぞれのきっかけになってもらえたらいいなと。そういう意味でいうと、全体に多様性を持たせるということも大事にしています。パーク内の建物は多くの建築家・設計士が関わっていますし、アートもさまざまなタイプの作家の作品を置いています。いろいろなものが一緒にあるということが大事なんです。ブランディング的な視点だとデザインやテンションを統一した方がいい、という考え方もありますが、いろいろなものが混ざり合っているからこそ生まれるなにかがある。それこそが、 KURKKU FIELDSらしさにつながるのではないかと思うわけです」
この考えは、今回コラボレーションでデザインしたユニフォームにも受け継がれている。改めてこのデザインに込めた想いやこだわりを聞いてみた。
「ユニフォームを制作するにあたって考えたのは、まず動きやすさとシンプルさ。これは、United Athleのプロダクトが本来持っている強みを活かすことで叶いました。そして、もう一つ大事にすべきと考えたのは多様性。スウェットやスイングトップなど各々が好きなアイテムを選べて、デニムを合わせたり長靴に合わせたり、仕事内容やそれぞれのファッションのスタイルに合わせられるようにしたかった。芯の部分が共通していればあとは好きにできる自由度をもたせたかったんです。一括りにKURKKU FIELDSのスタッフといっても、料理をする人から野菜を育てる人、施設を案内する人まで、私たち一人ひとりに多様な仕事と個性があるわけですから。コーポレートカラーやロゴといった、核となるkurkkuのアイデンティティは入れつつも、みんな揃って全く同じ制服ではなく、それぞれが自分なりの誇りを持って着られるユニフォームになったと感じています」
誇りを持って働くこと─。今回のコラボレーションでKURKKU FIELDSとUnited Athleが最も強く共鳴したポイントはまさにここにある。最後に、この場所で働くことの誇りはどんなところにあるのかを訊ねた。
「世の中から求められていることを実践している、という実感こそが、仕事に対する誇りにつながることだと考えています。はじめにお話ししたようなネガティブをポジティブに変える努力を常に続けて、まわりから評価されるという“循環”こそが仕事への誇りになるのではないかと思います」
2019年11月、千葉県木更津市にオープンしたサステナブルファーム&パーク。約9万坪の広大な敷地には、有機農場や動物たちが暮らす酪農場が広がり、敷地内で収穫した食材を購入できるショップやレストランから、宿泊施設、アート作品や図書館、プレイエリアまで、豊かな自然をたっぷりと満喫できるさまざまな施設を備える。
千葉県木更津市矢那2503
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