Column Vol. 07生地の種類|織物(テキスタイル)の基礎知識
生地の織り方の種類(三原組織)をご紹介
衣類などのアパレル製品を形作るのに欠かせない「生地」。
生地には大きく分けて「編み物(ニット)」と「織物(テキスタイル)」が存在します。
今回は、ジャケットやシャツ、バッグなどに活用される「織物」について解説していきます。
1. 「織物(テキスタイル)」とは
布帛(ふはく)とも呼ばれる布地製法の一つで、基本的に経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を直線的に配列し、上下に交差させて平面にしていきます。
経糸と緯糸が交錯した状態を「組織」と呼び、一定の法則に従って組織を作り上げることでさまざま表現が可能になります。
経糸が上になるのか、緯糸が上になるのか、さらに経糸または緯糸が上になる一定間隔がどのくらいになるのか、などによって織り方が変わります。
織物の歴史は編み物よりも古く、紀元前数千年紀の織物断片が出土しています。また、古代エジプトの王墳墓の記録図などにも機織りの様子が描かれていたり、中国・ギリシャなどでも古くから陶器などに織機が描かれていたりします。
古くは手作業から始まった織物も、現在では機械化が進み、緯糸を水流や高速空気流で流して織る方法などが開発されています。
2. 織物の基本組織
織物には「三原組織」と呼ばれる基本組織があり、「平織(ひらおり)」「綾織(あやおり)」「朱子織(しゅすおり)」の3つを指します。
- 01平織(ひらおり)
-
経糸と緯糸が1本ずつ交互に交差した一番単純な組織で、最も多く使われます。裏表がなく頑丈・丈夫で、摩擦に強い組織です。
経糸と緯糸を交互に交差するため、糸の交差が多く、しっかりした生地に仕上がります。
オックスフォード・シャンブレー・キャンバスなどの種類があります。
- 02綾織(あやおり)/斜文織(しゃもんおり)
-
最近では「ツイル」と呼ばれることが多くなったこの組織は、経糸と緯糸を2本ずつぬかすなどして交差させて作られます。
糸の交差する点が斜めに走るのが特徴(綾目:あやめ)で、通常の綾織は綾目が右上がりの「右綾(みぎあや)」と呼ばれ、左上がりは「左綾(ひだりあや)」と呼ばれます。
平織に比べると摩擦に弱く強度にかけますが、伸縮性に優れ、シワがよりにくいという特徴があります。また、しなやかで光沢を帯びた生地に仕上がるのも特徴です。
サージ・キャバジン・デニムなどがその代表。
- 03朱子/繻子織(しゅすおり)
-
一般的に「サテン」と呼ばれる組織で、経糸・緯糸の交差点が少なく、綾目は目立ちません。そのため美しい光沢があり、豪華な雰囲気を持ちます。
半面、交差せず浮いている距離が長いため、目ズレを起こしたり引っかかったりしやすいという欠点があります。
裏地は肌触りがよく滑らかで、着脱しやすいことからコートやジャケットなどの裏地としてよく利用されます。
また、ブランドタグや洗濯表示タグなどにも利用されます。
3. 平織の代表的な生地
ここでは最もポピュラーな組織の一つである「平織」で構成された生地の種類をご紹介します。
- 01オックスフォード
- 経糸と緯糸を2本ずつ引きそろえて織る生地。通常の平織生地よりも隙間が多く、通気性が良いことや軽くやわらかいことなどが特徴です。
- 02シャンブレー
-
経糸に色糸、横糸に白糸を使用した生地。糸染め織物による独特な霜降りの風合いは、シャンブレー効果、霜降り効果などと呼ばれます。
軽さとやわらかさをもつ生地で、独特な霜降り感と光沢感が特徴。
- 03ブロードクロス
-
なめらかな手触りで光沢と高級感がある生地です。
経糸と緯糸の本数が3対2くらいの織物で、「ポプリン」とも呼ばれるシャツ地の代表ともいうべき存在の一つ。
- 04シーチング
-
ブロードに比べると厚みがあり、表面は光を反射せず、落ち着いた印象になる生地です。
アイロンがけがしやすく、アイロンによるシワがほとんどできないのも特徴。
- 05ウェザークロス
- 語源は英語で「ウェザー=天候」を意味することからで、悪天候でも使える丈夫で防水性のある上質な平織物です。組織密度が非常に高く、生地にハリとコシがあります。
- 06キャンバス
-
帆布(はんぷ)とも呼ばれる、丈夫で厚手の粗布。
もともとは船の帆として使われていたほど丈夫な生地で、耐水性の強い素材でもあるため、濡れると水を通しにくくなるといった特徴も持っています。
4. アパレル製品を選ぶ前に知っておきたい「織物」のこと
織物も編み物と同様、知れば知るほど奥が深いものです。
織物の組織はここでご紹介した以外にも多数存在しており、基本の三原組織をさまざまに組み合わせることで何万通りもの表情を見せてくれます。
普段着を選ぶときだけでなく、例えば「オーダースーツ」を作るときなどにも、織物のことを知っていれば、より最適な生地を選ぶことができます。
ファッション性や着心地を重視するのか、強度・頑丈さを重視するのか、数ある織物の中から最適な生地を選んでください。