Column Vol. 05ナイロン素材の特徴
世界発の合成繊維である「ナイロン」
意外と知られていない繊維の性質や、メリット・デメリット、お手入れの方法などをご紹介
軽さと丈夫さを兼ね備えた「ナイロン」。実は世界初の合成繊維であることを皆さんご存知でしょうか。
そんな合成繊維の中で最古の歴史を誇るナイロンの特徴やメリット・デメリットなどをご紹介します。
1. ナイロンとは
1930年代にアメリカ・イギリスで開発された高分子ポリアミド系合成繊維です。
ナイロン繊維にはさまざまな種類があり、代表的なものがナイロン6とナイロン6,6で、開発企業が異なるだけでなく、それぞれ使用している原料が異なり、ナイロン6はより染色性に優れ、ナイロン6,6はより耐熱性に優れると言われています。
紡糸する方法は、「ポリエステル素材の特徴」でもご紹介した、溶融紡糸(熱で溶解し、細い孔がたくさん空いたノズルから繊維状に押し出し、空気で冷却化し繊維化する方法)です。
開発当初は女性用のストッキングに使用されることがほとんどの用途でしたが、開発を重ねた現在では、丈夫・軽量・折り曲げに強いといった特徴から、パラシュートやアウトドア用品、ダウンジャケットなどに利用されています。
最近ではナイロン素材にさまざまな特殊加工を施すことでコットンのような風合いを実現したものや、「裂け」に強い「リップストップ」といった生地も流通しています。
2. ナイロン繊維の特徴
- 01耐久性(強度)
- 天然繊維と比べて格段に強度があります。引っ張りや摩擦にも強いので、ハードな使用にも耐えることができます。
洗濯による劣化が少なく、アウターやバッグなどの外気に触れるアイテムへの使用に向いています。
- 02軽量
- ウェアに重宝される理由のひとつとして挙げられるのが、軽量さです。
耐久性がありながら、柔軟で薄くて軽い生地にすることができるので、バッグやポーチなどにも利用されます。
- 03形が崩れにくい、折り曲げに強い
- 洗濯や収納を繰り返すことによる型崩れはほとんどありません。
もともと弾力性に富み、適度に伸びるという性質を持った繊維であるため、繰り返しの折り曲げにも強いという特徴を持ちます。
- 04黄変に注意が必要(白地)
- 白地のナイロンについては、紫外線や日光照射による黄変(おうへん:生地が黄色く変色すること)には注意が必要です。
- 05熱に弱い
- 最大の弱点として、熱耐久性の低さが挙げられます。
もともと、ナイロンやポリエステルといった繊維は溶融紡糸で作られているため、熱を加えると溶けてしまうという特徴があります。
そのため、乾燥機の使用などは避けたほうが良いでしょう。
3. ナイロン製品のお手入れについて
アウターや小物などに利用されることの多いナイロンは、そのお手入れ方法について困ってしまう場面が多いのではないでしょうか。
ここでは、それらナイロンの洗濯・お手入れの方法について紹介します。
- 01洗濯機の使用について
- ナイロンは水洗いをしても伸び縮みや型崩れの少ない素材のため、比較的あまり気にすることなく洗濯できることが多いですが、ナイロン以外の繊維が含まれていたり、装飾品・付属品などが取り付けられていたりすることがあるため、洗濯の際はやはり洗濯表示を確認することが重要です。
また、防水加工が施された製品などは洗濯機の使用ができないことが多いため、特に注意が必要です。
製品によっては「洗濯機が使用できるもの/できないもの」「水洗いできるもの/できないもの」があります。
洗濯機を使用できる場合は、洗濯ネットを使用します。きちんと畳んだ状態で洗濯ネットに入れることで、洗濯時にできてしまうシワを防ぐことができます。
また、脱水の際は短めの時間で軽く行うと良いでしょう。きつく脱水をしすぎると、洗濯後のシワが多くなり、アイロンがけが大変になってしまいます。
- 02乾燥・干し方について
- 前述した通り、ナイロンは熱に弱い性質を持つため、乾燥機の使用には不向きです。
ナイロンはポリエステルなどと同様に、吸水性・吸湿性の低い素材で非常に乾きやすくなっているため、自然乾燥でも十分に乾かすことができます。
また、直射日光に当ててしまうと変色の原因になることもあるため、陰干しがおすすめです。
- 03アイロンの使用について
- ナイロン100%なのか、それとも別の素材も含まれるかなどによってアイロンをかけて良いかどうか、かける場合はどのような条件があるかが変わってきます。
こちらも必ず洗濯表示を確認するようにしましょう。
アイロンをかけて良い場合は「温度」「時間」「あて布の有無」を確認しながらかけるのが良いでしょう。
基本的には「低温に設定する」「あて布をする」ということを守れば大きなトラブルは起きません。
裾などの目立たない部分で試しにアイロンがけを行い、問題ないようであれば時間をかけずに全体にさっとかけていきます。
ナイロン自体はそもそもシワができにくい素材なので、洗濯する際にきつく脱水をかけすぎず、干すときにもきちんと伸ばして干せば、簡単にシワを伸ばすことができます。
4. ナイロンとポリエステルの違い
現在広く知られている化学繊維として、ポリエステルとナイロンが挙げられ、この2つは、しばしば混同されてしまう傾向にあります。
そこで、それぞれを比較した場合の特徴の違いや見分け方などをご紹介します。
- 01吸水性や吸湿性、速乾性について
- もともとの性質としては、吸水性・吸湿性が高いのはナイロンです。
しかし、速乾性についてはポリエステルに軍配が上がります。
ポリエステル素材が「吸水速乾機能素材」として謳われるのは、元来の速乾性に加えて、繊維の形状に「異形断面」などを採用することで毛細管現象が起き、天然繊維を上回る吸水性を付与しているためです。
- 02摩擦耐性や強度について
- 摩擦や摩耗に対して強いのはナイロンです。化学繊維のなかでも無類の強さを発揮する素材です。
ポリエステルも摩耗に対して強くはありますが、ナイロンには及びません。
また、強度については、引っ張りに強いのはナイロン、衝撃に強いのはポリエステルと言われています。
- 03耐熱温度について
- 特殊な加工やコーティングがされていないことを前提とすると、ポリエステルの方が、若干耐熱温度が高いです。
ですが、ナイロンもポリエステルも決して熱に強いタイプの繊維ではないため、高温での処理(高温のアイロンがけや乾燥機の使用)は避ける、もしくは品質表示を守りながら慎重に行うことが重要です。
- 04見分け方
- 最も顕著な見分け方は燃焼による方法です。
ポリエステルは煤(すす)の多い炎を出して燃えるのに対して、ナイロンは溶けながら徐々に燃え、炎を離すと燃え続けません。
ですが、いつも着用している洋服を燃やして試すことはできないので、衣類の場合は品質表示を確認することが最も簡単と言えます。
4. ナイロン素材を使用したUnited Athle製品
- Style No. 7059-01 7059-01 ナイロン コーチ ジャケット(裏地付)
- ナイロン素材を平織の一種である「タフタ」で織った上品な光沢感のあるコーチジャケット。
ストリートスタイルのアウターとしてもイベントなどのスタッフジャケットとしても重宝します。カラー・サイズともにバリエーション豊富なUnited Athleの人気商品の一つです。
- Style No. 7210-01 コットンライク ナイロン トラック ジャケット(裏地付)
- ナイロン繊維にタスランしわ加工(撚りをかけずに圧縮空気を吹き当てることで繊維同士をループさせ強く結束させる加工)を施すことで、光沢感の少ない、柔らかくナチュラルな表情に仕上げたジャケット。トラックジャケット独特の切り替えがスタイルのポイントになります。
- Style No. 9674-01 ナイロン バケット ハット
- ナイロンタスラン素材を採用しているため、天然繊維のようなナチュラルな表情と軽くてタフな仕上がり。タウンユースからアウトドアシーンまで凡庸性も◎。
軽さと丈夫さを兼ね備えたナイロンは、開発当時「鋼鉄よりも強く蜘蛛の糸より細い」というキャッチコピーで売り出されました。
今ではウェアから小物、アウトドア用品などさまざまな場面で使用されることが多くなったナイロンですが、その特徴などをお手入れ方法の参考にすることで、長く快適に愛用することができます。
ぜひこの記事を参考に、お気に入りの一枚を大切にしてくださいね。